1950年代後半、『芸術新潮』や『美術手帖』など出版メディアでの撮影仕事を手掛ける大辻清司は、これらの仕事を通して日本のアートシーンの現場に立ち会い、この時代の出来事や人物を克明にフィルムに焼きつけました。本巻で扱うフィルム原板には、日本美術界を支えた芸術家やデザイナーの創作の現場が記録されています。小倉遊亀、北川民次、駒井哲郎、佐野繁次郎、鳥海青児、徳岡神泉、豊福知徳、林武、福田平八郎、棟方志功、毛利武士郎、森田元子、山口薫、脇田和、剣持勇、原弘、渡辺力のほか、八木一夫や山田光をはじめとする京都・五条坂の陶芸作家らの、創作に向かうひたむきな姿を、大辻のカメラアイが生き生きと映し出します。
(大日方欣一「大辻清司のアトリエ訪問ルポルタージュ」を収録)